「公正証書作成の意義-借金などの契約を強く証明」神戸新聞 2000年6月28日掲載
執筆者:羽田 由可弁護士
友人にお金を貸すことになりましたが、後でトラブルが起きないようにしておきたいと思います。どうすればよいでしょうか。
相談者:友人にお金を貸すことになりました。後から問題が起こったりしないようにしたいのですが。
弁護士:そういう場合は、友人同士でもきちんと契約書を作るのがいいですね。
相談者:どんな契約書でもいいのですか。
弁護士:もちろん、市販の契約書用紙を使っても後から貸したことを証明することはできますが、公正証書にしておけば、より安心でしょう。
相談者:その公正証書って何ですか。
弁護士:公正証書というのは、公証人という公務員が、当事者の依頼を受けて、当事者間の法律行為とか、法的な事項について作成した証明力の強い文書のことです。
相談者:公正証書にすると、何がどう違うんですか。
弁護士:まず、一般的に、公正証書を作成した場合、裁判などになったときの証拠としての価値が違うといえます。公務員が作成にかかわっていますから、「この文書は勝手に偽造されたものではないんだな」と推定してもらえる。
それに、作成後二十年は公証人が原本を保管してくれますので、せっかく作った契約書をなくしたときや、後から書き換えたりできないことも安心です。
また公正証書は、公証人の面前で、内容を逐一確認しながら作られますから、相手方にしても、必ず約束を守ろうという気になるでしょうね。
相談者:それでも返してくれないときは、裁判をするのですか。
弁護士:公正証書の中に貸した金額が書かれていて、かつ、「私(借主)がお金を返さないときは直ちに強制執行してもらって結構です」という意味の文言があれば、裁判所を通さなくても比較的簡単に強制執行をすることができるという大きなメリットがあります。
相談者:それは安心ですね。でも、やっぱり公正証書を作るのに、お金がかかるんでしょうね。
弁護士:そうですね。公証人手数料というのが必要になります。貸す金額によって手数料の額が異なります。
相談者:公正証書を作ろうと思ったら、どうすればいいんですか。
弁護士:公正証書は、「公証人役場」で作るので、まずは、最寄りの公証人役場がどこかを確認して、その公証人役場に連絡して公正証書の作成を申し込んだらいいでしょう。その際、必要になる書類や公証人手数料がいくらになるかも確認した方がいいですね。