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2000年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「遺産相続-生前贈与なども分け合う」神戸新聞 2000年4月12日掲載

執筆者:小西 博之弁護士

父が亡くなりました。兄は、父から生前に土地をもらっており、私は遺言で株券をもらっています。どうやって遺産を分けたらよいでしょうか。

相談者:先日、父が亡くなって、私と兄が遺産を相続することになりました。父の生前、兄は独立して生活するため父から土地をもらったのに、遺産を均等に分けようと言うのです。

弁護士:それはお兄さんがいけませんね。この場合は、お兄さんがもらった土地の価額を遺産に加えないといけませんからね。

相談者:先生、土地の価額って、いつの価額ですか。

弁護士:いいところに気がつきましたね。今、説明しようと思ってたんですが、生前に贈与された財産は、相続開始のときを基準として評価するんですよ。だから、お父さんが亡くなったときの土地の価額を遺産に加えることになるんです。

相談者:じゃあ、私が父の遺言でもらった株券はどうなるんですか。

弁護士:遺言で株券もらってたの?この場合もね、細かい理屈の話は抜きにして結論だけを言えば、その価額をお兄さんと分け合うことになるんですよ。だけど、その遺言書に株券は相続とは関係がないということが書かれてなかった?

相談者:えーと、今ハッキリとは覚えてないんですが、それって、どういう意味な んですか?

弁護士:遺言というのは、その財産をもらう人に余計にあげようという意味でされることもあるんですよ。だから、その場合には遺言でもらった財産の価額を遺産に加える必要はないんです。生前贈与の場合も相続と関係ないとすることができるんだけど、きちんと書面で残しておかないと、後でもめることが多いですね。

相談者:それから、私が父の商売を手伝ってきたことはどうなりますか?

弁護士:それは、寄与分が問題となりますね。寄与分は寄与の態様や程度など一切の事情から決められるので、ここではあなたの寄与分がいくらとは答えられません。だけど、一般的には五%程度から三分の一程度までの間で認められる場合が多いですよ。

相談者:そうなんですか。

弁護士:それから、遺言書に株券は相続と関係ないと書かれてあっても、その株券の遺贈が寄与分を考えてのものならば、寄与分は精算済みとして認められないかもしれませんね。この場合、寄与分の価額が株券の価額よりも大きければ、その差額相当分が寄与分として認められると考えてよいでしょう。

相談者:分かりました。

弁護士:私が言ったことを参考にしてお兄さんとうまく話合いをしてくださいね。もし、話合いがつかなければ家庭裁判所に調停を申し立てて下さい。