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1999年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「高速道路での追突事故 停車中なら過失相殺」神戸新聞 1999年6月3日掲載

執筆者:堺 充廣弁護士

高速道路で停止していたところ、追突されてしまいました。私も責任を負わなければならないのでしようか。

弁護士:あれ、車替えたの。

友人A:いや-、高速道路で停止していたときに追突されてしまったんですよ。幸いけがはなかったのですが、追突なので相手が責任を負うべきはずなのに、相手は高速道路に止まっていたのだから、私が責任を負うべきだと言っているのですよ。おかしな話ですよね。

弁護士:いやいや、相手の話にも一理ありますよ。道交法上、高速道路で駐車、停車することは原則として禁止されています。もちろん、相手方が前方を注視していたら事故は回避できたはずですから、事故の第一次的な責任は相手方が負いますが、事故の具体的な事情によって、過失相殺といってあなたの方にも相応の負担が求められます。

友人A:へー、そうなんですか。

弁護士:一般的には四輪車同士の事故の場合、追突側が6割ないし7割、停止車側が4割ないし3割の負担が基準とされることが多いようです。これを基準に、停止車側の事情として、停車に際して停止表示板を設置するなど後続車への警告措置を取っていたか、後続車の待避が可能な状態だったかなどを考慮します。一方、追突側の事情として、速度違反の事実はあったか、前方不注視の程度が著しいかなどを考慮し、双方の負担割合を決めていくことになります。

友人A:そうすると、例えば相手が7割、私が3割ということになれば、私の車の修理費の7割を相手方に払ってもらえるということになるのですね。

弁護士:そのとおりですが、あなたの車の修理代だけではなく、相手方の車の修理代などについても、比率は逆になりますが負担しなければなりませんよ。今の例だったら、相手方の車の修理代などの3割をあなたが支払わなければなりません。そのほか、ガードレールや他の車輌に衝突するなど、第3者に損害を負わせた場合は、その修理代なども同じ割合で負担しなければなりません。

友人A:そうですか、それは大変だな。

弁護士:ええ。交通事故は片方の一方的な落ち度で発生することは少ないので、双方が自らの過失について冷静に考えて対応することが必要だと思いますよ。それよりも事故を起こさないことが第一ですがね。

友人A:はい。今後は気をつけます。