「犯罪被害者問題でシンポ 支援のプログラム検討」神戸新聞 1999年5月7日掲載
執筆者:津久井 進弁護士
兵庫県弁護士会は15日に犯罪被害者の支援をテーマにしたシンポジウムを開催します。今回はその紹介です。
相談者:近ごろ、胸が痛む事件が多いですね。
弁護士:確かに、地下鉄サリン事件、須磨少年事件、和歌山カレー事件など何とも言えない悲痛な事件が続いていますね。
相談者:僕はいつも思うんだけど、こういった事件の被害者の方々の人権はどうなっているのかな。犯人の人権っていうのはよく聞きますが、被害者の人権ってあまり耳にしませんよね。
弁護士:そうですね。犯罪の被害に遭われた方々は深い心の傷を負っているのに執拗な報道攻勢にあったり、捜査の過程や裁判の場で二次被害にあったり、世間から誤解の目を向けられたり、十分な補償もなかったりと犯罪そのものだけでなく、いろいろな場面で人権が侵害されているのが現実です。私たち弁護士としては被害者に人権の光をあてるべく、犯罪被害者の支援のために動き出そうとしているところです。
相談者:具体的にはどういうことですか。
弁護士:兵庫県弁護士会は15日午後1時から5時まで、県教育会館-神戸市中央区中山手通4-で「犯罪被害者の人権」をテーマに憲法記念行事シンポジウムを行います。犯罪被害者をめぐる諸問題を取り上げ、被害者支援のプログラムについて考えます。
相談者:どんな内容なのですか。
弁護士:まず、常盤大学学長で日本被害者援助センター副会長の諸沢英道氏に基調講演をしていただきます。その後、水戸被害者援助センター事務局長の冨田信穂氏、兵庫県精神保険協会こころのケアセンターの医師加藤寛氏、同会弁護士の垣添誠雄氏に、それぞれの立場から被害者支援について意見交換してもらいます。
また、和歌山カレー事件の被害者の方に心境を語ってもらうことも計画しています。入場無料ですのでぜひ、多くの市民に参加していただきたいと思います。