「未成年者事故、親は… 運行供用者の賠償責任も」神戸新聞 1999年4月2日掲載
執筆者:北山 真弁護士
未成年者が交通事故を起こした場合、親は責任を問われるのでしょうか。
相談者:実は、私の息子が先日、自動車を運転していて、歩行者と接触してけがをさせたんです。息子は十九歳の未成年者で、被害者の方から私に、親として責任をとれ、と言ってきたんです。
弁護士:あなたに責任を追及してきたのですね。
相談者:ええ。でも私は息子を特に甘やかして育てたことはありません。自動車の運転にしても、息子がちゃんと免許を取ったから許したんです。私としては親の責任は果たしているつもりなんですが。
弁護士:日常会話で責任という言葉は、道徳的な意味で使われますが、法的な意味での責任があるかというのは、具体的に言うと息子さんが起こした事故についてあなたが損害賠償しなければならないのかという問題なんです。
それから今回のような事故の場合は少し事情が違います。
相談者:どういうことなんですか。
弁護士:例えば息子さんが運転していた車の所有者があなただとしたら、それだけで、専門的には運行供用者責任というのですが、あなたに損害賠償責任があります。
相談者:所有者は息子の名義で登録してるんですが。
弁護士:息子さん名義でも、車の購入資金をあなたが出していたり、親子が同居して車の維持費をあなたが負担していると認められるような状況だと、やはりあなたに運行供用者責任が認められます。
相談者:そうすると私が賠償しなければならないんですね。
弁護士:はい。ところで保険に入ってなかったんですか。
相談者:もちろん保険には入ってますし、今回の事故も保険会社の人に交渉してもらってます。
弁護士:それならまず、保険の方で賠償の問題を解決すべきです。あなたの独断で被害者からの請求に応じたりせず請求があったことを保険会社に連絡してください。
相談者:分かりました。