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人権侵害事件についての警告等

2018年4月6日付関西電力株式会社宛勧告

 地中に送電線を設置する計画の見直しを求める住民らが、計画の見直しを求める署名を相手方に提出したところ、相手方(事業者)の従業員が、事前に連絡をすることもなく署名者宅約1400戸を2名1組で戸別訪問し、署名を行った理由や事業計画に対する不安の内容を尋ねてまわったという事案です。相手方は、署名者側の代理人弁護士による抗議を受けた後にも、住民に対する戸別訪問を継続しました。
 そもそも署名活動は、個々人では意思表明を躊躇せざるを得ない市民が集団で行う表現行為であることから、署名の相手方による署名者個人に対する直接の働きかけには許容される限度があるといえます。
 本件においては、相手方は、既に実施していた説明会等を通じ、住民の不安が磁界による健康被害のおそれであることは十分把握可能でした。また、相手方の前記戸別訪問により、多数の住民が実際に相手方からの強い圧力を感じて不安を抱き、これによりその後の住民の署名運動は下火となりました。
 前記の事情から、本件では限度を超えた働きかけがあったと判断しました。
 そして、相手方が署名者側の代理人弁護士による抗議を受けたにもかかわらず戸別訪問を続けたこと、相手方が類似の事案で既に大阪弁護士会の人権擁護委員会から要望を受けたことがあったこと、本件戸別訪問が署名活動に与えた影響・度合いを踏まえ、相手方に強く再考を求める勧告が相当であると判断し、結論として、今後署名者個人に直接働きかけることにより署名活動への不当な萎縮効果を生じさせないよう勧告したものです。

2016年7月5日付加古川刑務所宛勧告

 本件は、受刑者の面会に関する刑務所の裁量の範囲が問題となった事案です。
 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(以下「法」といいます)第111条1項では、受刑者の親族等について面会を原則許可するものと定め、同条2項では、前記以外の者でも、交友関係の維持その他面会をすることを必要とする事情があり、かつ面会によって刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生じ、又は受刑者の矯正処遇の適切な実施に支障を生じるおそれがないと認める場合には、刑務所長の裁量により面会を許可することができると定めています。
 申立人は、加古川刑務所に入所し、入所から1年半ほどの間に、申立人の母の内縁の夫であるAさんとの面会を申し出たところ、加古川刑務所から3回について面会を不許可とされ、2回について面会を許可されました。
 なお、申立人とAさんとの間で許可された2回の面会は、いずれも法111条2項により刑務所長の裁量で認められたものであり、不許可とした3回の面会について、刑務所はその理由を「面会の許否判断をするため申立人の母とAさんとの内縁関係を疎明する公的資料等(住民票など)の提出を求めたが、提出されなかったため、判断を行うことができなかった」としています。
 社会と隔絶された刑務所内で受刑する受刑者にとって、面会や信書の発受等といった外部交通は、家族との絆、社会との繋がりを確保するため、また、それにより釈放後に円滑な社会復帰をするためにも非常に重要な権利です。
 上記のような外部交通の重要性、また、受刑者の信書発受等に関する過去の裁判例をふまえて検討した結果、当会は刑務所側が申立人とAさんとの面会を3回にわたって不許可としたことは、刑務所長に認められた裁量の限度を超えた処分であると判断しました。
 そこで、加古川刑務所に対して、今後受刑者と親族等以外の者との面会の申出については、@面会によって拘禁目的が阻害される現実的危険性が発生し、その危険を排除するために最小限度の制限として、面会を不許可とすべきことが個別具体的な根拠により確認できる場合でない限り、面会を許可すること、A法111条2項に基づき「面会することを必要とする事情」を判断する際には、刑務所側が既に保有する客観的資料などで記載内容が真実でないことが明らかでない限り、「親族申告票」「親族外申告票」の記載や公的な資料の提出の有無にかかわらず、面会申出者や受刑者の説明、面会申込書の記載内容を尊重すること、を勧告したものです。

2016年3月11日付加古川刑務所宛て勧告

 本件は懲役刑の受刑者にも裁判へ出廷する権利が保障されるかが問題となった事案です。
申立人は、相手方加古川刑務所における服役開始後に、服役の原因となった刑事事件の被害者とされる人物から損害賠償請求訴訟を提起されたため、 同訴訟の口頭弁論期日への出頭のため3度にわたって刑務所へ出廷許可を求めたものの、いずれも不許可とされました。
 裁判を受ける権利は、自力救済が禁止される我が国において、憲法及び法律上の権利・自由を実効的に保障するものとして重要な権利であり、「基本権を確保するための基本権」として法の支配の不可欠の前提をなすものです。このような裁判を受ける権利の重要性に照らせば、出訴の権利のみならず、公開の対審手続(当事者双方が裁判所の面前で自己の主張・立証を行う機会が十分に与えられること)まで保障されなければなりません。
 確かに、懲役刑は、人身の自由を制限する刑罰ですが、それを理由に他の権利・自由に対する制限が当然に正当化されるものではありません。
 当会としては、裁判への出廷は保障されるべき権利であり、本件において、相手方が具体的事情を考慮することなく、一般的抽象的に申立人の出廷をすべて不許可としたことは申立人の権利を侵害したものと考え、勧告を行ないました。

2016年1月6日付兵庫県警察本部及び垂水警察署宛意見

 兵庫県内にある警察署内の留置施設には、机や机の代わりになる物がありません。
 本件は、申立人が垂水警察署の留置施設に勾留されていた間、机がないため食事を床に直接置いて食べる生活を強いられた等を理由として申立があったものです。
 机がないことによる生活上の支障については、食事の際の衛生面の問題のほか、書類の作成、記録や書籍の閲読の際の不便さも考えられます。
 このような状況は、いずれも、食事をしたり、手紙を書いたり、本を読んだりすることを直接的に制限するものではありませんが、一般的に考えられる生活環境の水準を下回っていると考えられることから、収容されている人が小机やその代わりとなる物を利用出来るよう、意見を表明しました。
 なお、警察署の留置施設と同じく、未決被拘禁者(逮捕による身柄拘束後、裁判による有罪判決が確定していない人)が収容されている拘置所では一般的に居室内には小机が常備されているほか、他の都道府県では、警察署内の留置施設において収容されている人に小机を貸与しているところもあるようです。

2015年6月23日付法務省、同大阪矯正管区及び加古川刑務所に対する勧告

 申立人は、戸籍上は男性ですが、女性としての性自認を持ち、かつ性適合手術を受けて女性としての身体的特徴も備えている被収容者(申立当時)です。
 同人からの申立については、既に当会から2012年2月23日付けで、法務省等に対し、同様の受刑者は女性用の施設へ移送するよう勧告していますが、当会からの勧告後も申立人は女性用施設には移送されることなく、反則調査の際に単独室内で男性刑務官から着衣の検査をされる等の処遇を受けていました。
 当会としては、先の勧告同様、本件のような女性としての性自認及び女性としての身体的特徴を有する者は女性として処遇すべきと考え、このような被収容者に対する身体、着衣の検査は女性の被収容者と同じ扱いとするよう、また、男性刑務官が身体、着衣検査をすることを許容している現行の運用については速やかに改めるよう勧告したものです。

2014年11月16日付神戸刑務所宛勧告

 本件は、刑務所における処方薬の変更及びその説明が問題となった事案です。
 申立人には、相手方刑務所に入所する前から、パニック障害等の持病があり、投薬等の治療を受けていたところ、相手方刑務所は、同所入所後の申立人の治療について、一部の薬の処方中止を含む投薬の変更を行い、その後申立人の症状が悪化しました。
 調査の結果、当会としては、この時それまでの処方薬を漸減中止ではなく突然中止したことは厚生労働省研究班が作成した「パニック障害の治療ガイドライン」や処方薬の添付文書における禁忌に照らして不適切な処置であり、症状悪化もその突然の中止による離脱症状であった可能性も考えられると判断しました。また、相手方神戸刑務所では、この処方変更について申立人にほとんど説明がなされていませんでした。
 このような刑務所側の処遇は、申立人の適切な医療処遇を受ける権利(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第56条参照)を侵害していることから、再び同様の行為がなされないよう勧告しました。

2014年7月31日付加古川刑務所宛勧告

 刑務所内で雑誌の閲読制限が問題となった事案です。
 一般的に、刑務所内では、刑務所が所蔵する官本の貸し出しのほか、自費で私本を購入して書籍・雑誌を閲読出来ます(冊数制限があります。)。
 本件は、加古川刑務所に収容中の複数の受刑者が、それまで自費で購読していた雑誌(成人向けの月刊誌)について、平成24年12月頃から急に閲読できなくなったというものです。
 憲法21条1項は表現の自由を保障しています。表現の自由は、本来、表現の受け手を抜きにしては考えられない権利ですから、表現の自由には、知る権利(国家の妨害を受けずに自由に情報を受取る権利)が含まれます。書籍や雑誌の情報に自由に接することは憲法で保障された重要な権利です。
 ただし、受刑者の場合、「刑事施設の規律秩序を害するおそれ」や「受刑者の矯正処遇の実施に支障を生じるおそれ」がある場合に限り、必要かつ合理的な範囲で制限できることが法律で認められています(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律70条1項)。
 そこで刑務所は、受刑者が読む前に雑誌を検査し、問題ある箇所を黒塗りしたり(抹消)、ページを切取ったり(削除)、雑誌そのものを閲読禁止したりできます。
 しかし、本件受刑者は、詐欺や薬物事件により服役中で、罪名からは性犯罪傾向は認められず、それまで閲読できていた成人雑誌の閲読を、禁止する必要性が認められません。また、禁止された雑誌は、一般書店やインターネットで市販されているもので、わいせつ物にあたるものでもありません。
 こうした雑誌を丸ごと閲読禁止とすることは、行き過ぎた制限と判断し、今後は抹消や削除など部分的な閲読制限で対応するよう勧告したものです。

2014年3月25日付加古川刑務所宛勧告

 本件は、受刑者の刑務作業における刑務所側の安全性の確保が問題となった事案です。
 申立人は、受刑者として相手方加古川刑務所に収容されていた間、刑務所内の工場において、生産目標額が記載されたホワイトボードの付け外し作業を数回行いました。この際、申立人は踏み桟の高さが1.45メートルの脚立に登り、さらに床から2.33メートルの高さにある鉄鋼に足をかけて作業をすることがありました。
 労働安全衛生規則は、高さが2メートル以上の高所で危険な作業を行う場合には、危険を防止する措置を講じるよう定めています。この規則は、刑務所と受刑者との関係において直接適用されるものではありませんが、受刑者の刑務作業における安全のためには、尊重されるべきものと考えられます。
 申立人の行った作業は、高所での危険な作業に該当するものでしたが、刑務所側は、申立人に対して、鉄鋼に足をかけることを制止することなく、また、ヘルメットや安全帯を着用させる等の措置も講じていませんでした。
 そこで、今後は受刑者の安全を確保するため必要な措置を講じるよう勧告したものです。

2014年2月6日付兵庫県警察本部宛警告

 警察が警察官に対して実施する水泳訓練において、訓練対象者への安全配慮義務の履行を怠ったことを問題とする事案です。
 本件の申立人は、50歳で機動隊に配属された警察官です。申立人は、新隊員訓練の一環としての水泳訓練の対象者となりました。
 水泳訓練中に、申立人は疲労により二度にわたりプールの縁に掴まりましたが、指導員らは二度とも申立人に事情も聴かずに、訓練を再開させようとプールの縁から手を離させました。その結果、申立人は水中に沈み、呼吸停止及び心停止の状態となりました。
 申立人は訓練対象者の中では高齢でしたし、他に同訓練の約2週間前までは傷病休暇を取得していた、水泳訓練前日の別の訓練では熱射病で倒れていた、という事情もありました。
 このような申立人の年齢や健康状態からすれば、指導員らは申立人が溺水しないよう十分に配慮すべきでしたが、基本的な安全への配慮を怠り、申立人の生命・身体に重大な危険を生じさせました。
 これは重大な違法行為であり、二度と起きてはならないことですから、警察内部の諸訓練について、対象者の生命身体の安全確保のため十分な措置を講じ、再びかかる危険を生じさせることのないよう警告しました。

2013年11月15日付法務大臣宛勧告及び神戸刑務所宛要望

 本件の申立人は申立当時神戸刑務所に収容されている受刑者でしたが、収容時、反則行為による懲罰の審査期間中及び懲罰(閉居罰)期間中に、何十日にもわたり昼夜間、単独室に他の収容者と2名で収容されました。
 単独室というのは、その名前のとおり、本来は1名を収容するための居室です。部屋の中は3畳ほどの生活空間の奥に洗面台と便座が設置されており、合わせて4畳ほどの広さ、また、トイレは腰の高さほどのついたてで仕切られているのみで、個室にはなっていません。
 このような狭い空間に他人の成人男性を2名収容すれば、お互いの距離が非常に近く、さらにトイレでの用便も同室者の目前でするような生活を強いられることになり、多大な精神的ストレスを受けることは想像に難くないことと思います。
 刑務所側はやむを得ない場合に了解を得て行っていると主張していますが、平成18年5月には神戸刑務所において単独室に2名収容されていた受刑者が同室の受刑者を暴行し死亡させるという事件も起きており、この処遇が引き起こす人権侵害性に鑑みれば、いかなる場合でもこのような処遇が許されるべきではありません。
 したがって、全国の刑事施設においてこのような処遇が行われないような措置を講じるよう法務大臣に対して勧告すると共に、神戸刑務所にもこのような運用を改めるよう要望しました。
 なお、日本における昼夜間独居拘禁の人権侵害性については国際的にも懸念されており、国連の拷問禁止委員会は、平成25年5月、日本政府に対し、「(a)独居拘禁が、厳しい監督の下で最小限の期間、司法審査が可能な状況で最終手段として用いられるよう法改正し、独居拘禁の明確かつ具体的な基準を確立すること」、「(b)独居拘禁中、被拘禁者の心身の状態につき医師が定期的に監視・
検査するシステムを確立し、その医療記録を被拘禁者とその弁護士に開示すること」などを勧告しました。この勧告を受けた日本政府の対応が注目されます。

2013年7月31日付神戸刑務所宛勧告

 本件は、受刑者(申立人)が、刑務所(相手方)に対して訴訟に関する書面及び人権救済申立書を作成したいと願い出たところ、閉居罰中であることを理由に認められなかったという事件です。
 たとえ受刑者であっても、訴訟に関する書面を作成することは、裁判を受けるにあたって必要不可欠な準備行為であって、理由なく拒否されてはなりません。
 また、弁護士会等に対する人権救済申し立ては、裁判と直結しなくとも、その前提となる法的援助を受ける権利の一環として、理由なく拒否されてはなりません。
 そのため、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律152条1項6号では、閉居罰中においても、受刑者は「弁護人等との間で信書を発受する場合及び被告人若しくは被疑者としての権利の保護又は訴訟の準備その他の権利の保護に必要と認められる場合」は、信書を「発受」することができることが規定されています。
 「発受」が許されている以上、その前提となる「作成」が制限される理由はどこにもありません。
 法の趣旨を踏まえて当弁護士会で検討した結果、本件において、申立人の裁判を受ける権利および十分な法的援助を受ける権利の侵害があったとの結論に達しました。
 そこで、相手方に対し、今後は訴訟の準備その他の権利の保護に必要と認められる書類の作成を妨げないよう勧告しました。

弁護士 小川 政希
弁護士 園田 洋輔

2013年7月31日付明石区検察庁宛要望

 勾留延長の必要性が疑われる事案です。申立人は、図書館において館長と口論になり、体当たりなどの暴行を加えたとして現行犯逮捕されました。その後、相手方明石区検察庁の検察官によって勾留請求がなされ、明石簡易裁判所は勾留決定を行いました。さらに、10日目の勾留満期日に同じ検察官によって勾留延長請求がなされ、裁判所は勾留延長決定を行い、結果として19日間にわたる勾留がなされた後、申立人は不起訴処分となって釈放されました。
 本件は軽微な暴行事件であり、関係者らの供述によれば容易に事件の終局処分をすることができ、申立人が早期に釈放されてしかるべき事案でした。しかし、本件で勾留延長請求がなされた時点において、相手方明石区検察庁は、被害者取調べ、参考人事情聴取、実況見分、被疑者取調べのいずれも行っていませんでした。これは、適切な捜査を行うことなく漫然と勾留を延長して申立人を身柄拘束したものに他ならず、人権侵害に当たるといえます。
 よって、今後、このように安易な勾留延長請求がなされることのないよう相手方明石区検察庁に要望するとともに、兵庫県下の全ての裁判所に要望書を参考送付し、安易に勾留延長決定をすることのないよう注意喚起を行いました。

弁護士 北村 拓也

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