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2016年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

事業悪化のため退職勧奨されたが…−応じるかは労働者側が決定 神戸新聞 2016年11月2日掲載

執筆者:赤松 舞依香弁護士

Q:私は、会社に10年勤めていました。ある日、会社から「事業悪化のため退職してほしい。退職金として1カ月分の給与を払うから同意書にサインして」と言われました。応じなければいけないのでしょうか?

A:結論からいうと、応じる必要はありません。本件は、会社が従業員に対して退職するよう説得する「退職勧奨」の事案ですが、応じて退職するか否かは労働者の自由な意思決定に委ねられています。
退職の種類はおおまかにいうと、従業員側から会社に対し、辞職の意を伝える「自己都合退職」と、会社側が従業員を辞めさせる「解雇」の2種類があります。
会社が従業員を解雇する場合、会社は労働法によって定められた規定による制限を受け、簡単に解雇することができません。具体的には、「客観的に合理的な理由」と「社会的相当性」が必要です(労働契約法16条)。
本件において、会社は「事業悪化」という理由を提示していますが、経営上の問題を理由に人員削減として行う解雇は、整理解雇と呼ばれ、労働者側の事由を直接の理由とした解雇ではないため、より厳しい制約が課されています。
会社が、労働者の意に沿わない整理解雇を行うためには、人員削減の必要性が求められるだけでなく、解雇せずに済むように、努力する義務が生じます。そのため、会社は、解雇以外に残業の削減、新規採用の手控えや希望退職者の募集など、他に手段がないか、いろいろと手を打つ必要があります。
本件の場合、この一環として、会社は退職勧奨を行っているのかもしれませんが、最初に述べた通り、労働者側に同意する義務はなく、退職勧奨を断る権利がありますので、必ずしも退職に応じる必要はありません。
また、退職勧奨に応じた場合の退職金の相場は分かりませんが、会社が退職金を定める場合、就業規則に規定することとなっています(労働基準法89条3号の2)。会社が提示した退職金が通常よりも多いのか、妥当な金額かは、会社の就業規則をご確認ください。早期退職手当の規定があれば、それももらえる可能性があります。

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