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2016年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

駅でキャリーケースに足を引かれた−具体的な状況を基に過失判断 神戸新聞 2016年10月19日掲載

執筆者:櫻木 伸也弁護士

Q:私が、駅の構内を歩いていたところ、サラリーマンが引いていたキャリーケースで足を引かれました。相手からは、私にも過失があると言われています。私にも過失が生じるのでしょうか?

A:回答に当たって、そもそも「過失」とは何かということから説明します。「過失」とは、法律学上は「結果発生の予見可能性がありながら、結果の発生を回避するために必要とされる措置(行為)を講じなかったこと」と定義づけられます。
今回のケースでは、まずは「キャリーケースに足を引かれる」という結果発生を予見可能だったかが問題となるでしょう。
予見可能性があったか否かは、事故当時の具体的な状況に基づいて判断されることとなります。例えば、事前にそのサラリーマンが歩行してくるのを認識していたのか、事故当時人通りは多かったのか、現場はキャリーケースを引いて歩行する人が多い場所(新幹線乗り場付近など)だったのかなど、さまざまな具体的な事実を前提として、予見可能性の有無は判断されるのです。
また、結果回避行動を取ったのか否かについても、同様に詳しい事故当時の状況把握が必要となるでしょう。
東京地裁2015年4月24日判決は、事故当時88歳の方が、駅構内においてキャリーケースにつまずいて転倒し手首を骨折した事案において、通行人の多い場所では、対向の歩行者が大量の荷物を持っていたり、キャリーケースを引いていたりすることは当然予測できるとし、歩行者にも過失があると判断しています。
ご相談の事案においても、具体的な状況次第では過失が生じる可能性があるということになります。もっとも、過失の有無について判断するためには、より詳しい事情をお聞きする必要がありますので、ぜひお近くの弁護士、あるいは弁護士会までご相談下さい。
なお、被害者側に過失があるということになれば、けがをされた分の治療費などの損害を相手方に対して請求した場合、過失割合に応じた分だけ減額されることになりますのでご注意下さい(民法722条)。

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