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2016年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

薬物事犯者の刑の一部執行猶予制度−保護観察のもと社会で生活 神戸新聞 2016年9月7日掲載

執筆者:高橋 誠弁護士

Q:親友が覚醒剤を所持していたとして捕まってしまいました。テレビで刑の一部執行猶予制度が施行されることになったと聞きましたが、どのような制度でしょうか?

A:刑の一部執行猶予制度は、今年6月に施行されました。施行前は、被告人に対して懲役または禁錮刑を言い渡す場合、刑務所等に収容する全部実刑判決または全部執行猶予付判決の選択肢しかありませんでした。
同制度施行後は、例えば「懲役2年とし、そのうち6カ月については3年間執行を猶予する」という刑期の一部に執行猶予を付ける判決を言い渡すことができるようになりました。
この場合、被告人はまず、1年6カ月間刑務所に入った上で釈放され、その後の3年間、執行猶予を取り消されることなく過ごした場合には、残りの6カ月については刑務所に入らなくてもよいことになります。
同制度は、薬物の所持や使用といった薬物事犯者を主な対象として、刑務所内での処遇に引き続き、社会に戻っても継続的に処遇を行うことで、再犯の防止を目的としています。そのため、薬物事犯で一部執行猶予の判決を受けた場合、執行猶予期間中は必ず保護観察が付けられます。保護観察中は、再犯防止プログラムや、定期的な簡易尿検査を受けて、社会で薬物に手が届き得る環境で生活しながら、薬物依存からの立ち直りを目指すことになります。
同制度施行前でも、刑期満了の前に仮釈放される場合には、仮釈放後、刑期が満了するまでの間、保護観察が付けられていましたが、その期間は数カ月と短い場合が大半でした。また、刑期満了で釈放される場合には、社会に戻ってからの処遇は何もありませんでした。
これに対して刑の一部執行猶予制度は、執行猶予期間を1.5年の間で決められますので、これまでよりも長期にわたって、保護観察所の関与のもと、社会で更生に向けて生活することができ、再犯防止の効果が上がることが期待されています。
一部執行猶予制度は、薬物事犯以外の場合でも、初めて実刑を科される人らを対象に施行されています。詳しくは弁護士に相談することをお勧めします。

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