●040520東京地裁、商品先物取引
●裁判官 井上哲男

●要旨

商品先物取引は,価格が激しく上下する商品を対象とするものであり,危険性の高い取引であるから,商品取引員は,商品先物取引について十分な知識や、経験を持たない顧客に対しては,安易に取引に関与させて予想に反した大きな損害が発生しないように努めるべき注意義務があるというべきである。
これを本件についてみるに,前記認定事実によれば,本件取引に関する被告会社従業員らの一連の行為は,全体として不法行為に当たるというべきであり,被告は,民法715条1項による使用者責任を負う。すなわち,従業員らは商品先物取引の経験のなかった原告に対し,現物取引と先物取引との区別を曖昧にした上で,先物取引に導き込み,先物取引の危険性等について十分な説明をしないまま,約2週間という短期間に合計8100万円という高額な資金を取引に投入させた上,平成14年2月25日から同年5月2日までのわずかな期間の間に,別紙建玉分析表記載のような高額な取引をさせて,その結果,原告に6001万3320円の損失を与えたものであるところ,その取引の内容も,断定的な判断を提供した上で,本件取引の途中からは,実質的な一任売買をしているほか,いわゆる特定売買も多数回数にわたって行われているのであるから,同人らが前記の注意義務を欠いていることは明らかである。

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